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平安初期を深くえぐる貴重な作品(2008-08-11)奈良時代の終わりからから平安初期。
TVドラマにも映画にも描かれることがなく、誰もが知っているような人物も見受けられないこの時代は、ついつい見逃されがちですが、こんなにも魅力的な人物がいて、たいへんな波乱に充ちていたのです。
読み始めは誰が主人公なのかと迷うかもしれませんが、読み進めるうちに『皆が主人公のつもりであり、皆がそれぞれの思いと苦しみを抱えている』という著者の描き方が見えてきます。
父と子、男と女、主と家臣の激しい愛と憎しみ。家族間でさえ駆け引きが行われ、目線だけで会話を交わす人々の姿。
そんな中、政治の中枢になかなか触れられないゆえに、すべてのできごとを静かに見つめる男の姿が、次第にクローズアップされてくるのです。
彼こそ、藤原北家栄達のきっかけとなった人物、冬嗣です。
どこか自分のことすら、遠くからながめているようなクールな彼は、桓武帝の権謀と苦しみ、平城帝の愛と痛み、他の藤原氏の男たちの野望、そして兄の強い想いなど、すべてを見つめつつ、そして誰も選ばなかったやり方で、穏やかに静かに、しかしきっぱりと奈良時代の歴史に終止符を打ちます。
大きな理想を掲げ、大きな声を上げ、大きく武器をふるうことだけが、時代を動かすことではない。期を捉え、ふさわしい仕事を確実にやり遂げることで、時代は大きく変わり、権力の形が変革していくのだ……
冬嗣はそんなことはいいませんが、彼の生き方は、そのように静かに主張しているかのようです。
彼の政治への関わり方は権威と権力の構図を生み、それは現代にも通じることです。
人気の戦国時代や明治維新のころの歴史もおもしろいのですが、『平安』に見えるこの時代の政治的動乱に目を向けるのもなかなかおもしろいかもしれません。
上・下巻と長編ですが、それだけに深く、読み返したくなる作品です。
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藤原北家、栄光への軌跡(2005-11-10)藤原不比等の子息藤原四兄弟がそれぞれ南家、北家、式家、京家と分派して、天皇家を巻き込んだ同族間の権力闘争が続き、後に北家が独走するまでの過程が面白く読める歴史小説。これを読むと当時の女の人の恋愛や血縁てものが、歴史を揺さぶっている気がしてならない。結婚の形態そのものがゆるかったからなんでしょうか。
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王朝ロマン(2003-03-30)藤原百川の長子・緒嗣。そして内麻呂の長男・真夏に次男・冬嗣。官位をはさんで縺れ合う彼らの生き様が語られます。小殿親王に仕える兄・真夏と小殿の異母弟である賀美能親王(のちの嵯峨天皇)に使える弟・冬嗣。この二人の兄弟の運命は・・・
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