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秘密がいっぱい(2008-12-23)「危険な世界史」というタイトルと表紙の重々しい雰囲気から怖い系の裏話が満載か?と思ってしまいますが、実際の内容は西欧史で登場する方々や関係する有名人などの多様なエピソードが多く収録されています。(勿論、ホラー映画も真っ青な内容もあります)
エピソードだけでなく、当時の情勢や価値観など登場人物がおかれた状況も説明してあり、読み手の理解を助けてくれます。
感想として、もっとはやく本書(または本書のような存在)と出会えていたらと思いました。
私は学生のとき勉強が苦手で、当然歴史についても興味がもてず嫌々取り組んでいた思い出があります。あの時、本書と出会っていたらもっと前向きに勉強に取り組んでいたのかなぁ、と思いました。(まあ、今からでも歴史に興味をもてたことは運が良かったと思いますが)
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世界史を動かすものは…(2008-09-07)
「怖い絵」と「怖い絵2」の語り口がとても気に入ったので、同じ著者のこの本も手にしてみることにした次第です。
これは書き下ろしではなく、朝日新聞のブログに連載した「世界史レッスン」を再編集した一冊です。各コラムが取り上げる世界史は、マリー・アントワネットの生きた時代を基軸として前後それぞれ100年程度の間に起こった事件の数々。各回がこの本では2ページ弱というごく短い文章にまとめられています。
著者自身が「あとがき」で告白するように、「扱う事件も人物もばらばら」で、「あっちへいったりこっちへいったりの雑多なエピソードの数々」が年代にも頓着せずに連なっています。そのため、断片的、えてしてトリビア的な情報が次々と出てくるといった印象で、言ってみれば「試験に出ない世界史」といった趣の本になっています。
試験には出ないとはいえ、それでもこの本の効用を挙げるなら、世界の歴史というのは、理屈や論理で動くのではなく、時の政権を担う人物や市民たちの気まぐれ、思い込み、思い入れ、性欲、支配欲、そういった人間くさい要素の数々と運と偶然が組み合わさった果てに動くのだなということへの理解です。
特に社会契約説がまだ世に浸透していない時代には、権力者の恣意的な決定が大きく歴史を動かしたということに、本書の断章の数々を読むと思いを強くします。
翻って思うに、王権神授説の時代から遠く離れ、法治と民主が徹底されるべき現代でも、やはり思惑や猜疑心が頻繁に政治・経済・文化を動かす場面を目にする気がします。
近代の「危険な世界史」から何を学ぶことが出来るのでしょうか。
そもそも何かを学ぶことが出来るのでしょうか。
それとも人間とはいつの時代もそういうものだという認識を深くするべきなのでしょうか。
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マーラーの危険な交響曲(2008-08-16)中野京子さんの「怖い絵」シリーズと姉妹編といってもよいような内容の小品集。
西洋の宮廷文化や芸術家のエピソードが中心となっていて、どこからでも気軽に読めますが
意外なところでギクりとさせられます。中野京子さんのファンなら文句なく楽しめるでしょう。
この本のなかで、私の心に特に残るものは、マ−ラーの交響曲の話。
マーラーは、ベートーベンやブルックナー等が九番以降の交響曲を書けずに死んだので、
「第九の呪い」を恐れ、自身の九番目の交響曲は交響曲とは呼ばず「大地の歌」と名づけた。
(何か矛盾するようですが、「大地の歌」では『生は暗く、死もまた暗い』
『Dunkel ist das Leben, ist der Tod』と生きる喜びもなく、死も自らを解放する
「永遠の眠り」ではないことを、正面切って歌っています。)
マーラーはその後、改めて交響曲九番を書き、そしてまるで自分で作った罠に落ちるように死んでいった。
初演は1911年、第一次世界大戦は間近に迫っていた。
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歴史上の点が線になる面白さがあるから、頁をめくる手が止まらない(2008-08-07) 1789年に勃発したフランス革命によって捕らえられ、ギロチンの斬首刑に処せられたマリー・アントワネット。彼女が生きた十八世紀後半の前後百年間、1683年〜1883年にかけてヨーロッパならびにロシアで起きた事件や活躍した人物たちのスキャンダラスなエピソードを取り上げながら、その背景にあったかもしれない出来事や相互関係を紹介していくミニ・コラム集。
全部で100のコラムのそれぞれは2頁ほどと小粒ながら、著者の語り口の上手さ、歴史的エピソードの切り口の面白さで、あれよあれよと、頁をめくる手が止まらなくなっていましたね。歴史上の点として見えていた人物や事件などが、読み進めていくうちに線としてつながっていき、それとともに、十八世紀〜十九世紀にかけての近代ヨーロッパという時代が秘めていた血なまぐさい匂いが漂ってくるような、そんな妙味がこの一冊にはありました。
当時の君主たちの命がけの権力闘争や、王族のスキャンダルなどを取り上げた【魑魅魍魎の宮廷世界】。チャイコフスキーやドストエフスキーといった芸術家たちにスポットライトを当てた【芸術家という名の怪物】。十八世紀ヨーロッパの奇妙な流行などを垣間見ていく【宮廷の外もまた・・・・・・】。以上、大きく三つの章で構成されています。
とりわけ印象に残ったのは、「フランス革命からフランケンシュタインへ 一八一八年」「フランケンシュタイン誕生前夜 一八一六年」と続くふたつのコラム。フュースリの『夢魔』の絵を皮切りに、そこから展開される歴史の不思議な因縁、つながりに戦慄させられました。
戦慄させられると言えば、単行本表紙カバーに描かれたスペイン王室のカルロス二世の肖像画も怖いなあ。この少年の青白い顔に、当時の西欧社会の歪みのようなものが象徴的に出ている気がして、眺めているとぞっとします。
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天才たちの欲望に脱帽(2008-08-06) この人たちを「偉人」と呼んでいいのか?
そう感嘆せずにはいられない、名君や天才たちの強烈なエピソードが100話も詰まっています。
大きなことを成し遂げるには、欲望や自己実現をかなえるためには、倫理や道徳をも蹴散らすほどの強烈な行動力(?)を備えていなければいけないのか……と、呆れたり感心させられたり。こんな嵐のような気質は当人だってつらかろう、私は凡庸でよかった、とすら思えます。
どのエピソードも、簡潔で切れ味のいい文章でまとめられ、読ませます。『怖い絵』とはまた違った、中野京子氏の筆力の幅を感じさせる一冊です。
別の時代の続編を期待します。
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