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戦史上の実際の有様をつづったベルリンまで続く悲劇の1小節(2008-08-03)本書は隔月刊「歴史群像」に連載された劇画を単行本にしたものです。
小林先生の作品全般についていえるのですが、様々な実際の材料を巧みに配置して、場合により、フィクションも入る時もあるので、どこからどこまでが実際の記録というようには切り分けられないことが多いです。
ただ、全般を通しての大筋である、1944年から1945年にかけて、「東プロイセン地域でドイツ軍と入植したドイツ民間人がソ連軍の包囲攻撃を受け、ドイツ陸海軍の努力でできるだけの民間人の避難を助けたこと、そして、攻撃したソ連軍の略奪、暴行、殺人、婦女暴行を勝者の当然の権利とみなす蛮行が続いたこと、それが帝国の最期となったベルリン攻防戦まで続いたこと」は事実として受け止めねばならないことです。
一般に映画やドラマで戦史が語られる時には、伏せられてしまう、絶望的な戦況、その中で、過酷な手段でもって士気を維持する(ドイツ野戦憲兵はとりわけ脱走兵に厳しく逮捕されれば処刑の対象となった)ドイツ軍、必死に避難しようとするもソ連軍に蹂躙された民間人、中世の十字軍なみの蛮行を働くソ連軍(それは満州や朝鮮でも起こった出来事です)を小林先生は淡々と劇画で表現されています。文章とは異なる画像による迫力あるメッセージが伝わってくるかのようです。
戦史に何らかの由縁で関心を寄せるならば、本書の最初の部分に「この作品を東プロイセンの戦いで犠牲となった全ての兵士と民間人に捧げる」とあるように、常に犠牲者の皆様のご冥福を祈りつつ、作品に接したいものです。
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ドイツ軍最後の死闘(2007-07-08) 殺せ殺せ!!ドイツ人で無実なる者はいない!!
ソ連軍が前線の将兵を鼓舞し士気を上げるために撒いた宣伝ビラの文句ですが、内容があまりに過激的である故、印象的です。
本作は東プロイセンのケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)を巡る攻防戦をメインに、独ソの壮絶なる末期戦を描いた作品である。この時期の戦いはベルリン攻防戦に目が行きやすいが、この東プロイセンの戦いこそ、ドイツ人にとって負けられぬ戦いであったのである。
東プロイセンの州都、ケーニヒスベルクは我々日本人の感覚で言うところの、京都のような存在。すなわちドイツ人にとっての聖地なのである。故にドイツ軍は激しい抵抗をしめし激戦となった。
この東プロイセンの戦いをとてもよく描いています。ヴィットマン、カリウスに次ぐ敵戦車100台撃破のエース、ケルシャーの戦いも描かれ、彼からみた東プロイセンの戦いが見てとれます。
全体的な戦局の流れだけでなく、実在の一兵士の視点から多くが描かれている。リアルでありかつ、人間のドラマがそこにはある。地獄と化した戦場で彼らが見たものは何か?突きつけられた悲惨な現実、肩にかかった重すぎる使命。宣伝ビラがもたらした虐殺、西に脱出する難民…戦いは聖地を死守せんとするものから民族の存亡を賭けたものに変わり、戦争は遂に終局を迎える。
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