墨子 (講談社学術文庫)

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ユーザーによる口コミ・評価

平均評価: 5.0 / 3件のユーザーレビューがあります

評価: 5 非攻の考えと、その崩壊(2008-12-07)

今はなき墨子の思想を詳細に解説した本。

非攻の思想を時ながら、近代戦術を生み出し強力な軍事集団を持つ墨家集団。だが、秦漢帝國の時代に滅びてしまう。現在に於いて墨子研究が進み始めたが、イデオロギーを背景としている為に、墨子本来の思想が全く見えてこない弊害があるという。そういった指向に警鐘を鳴らしつつ、筆者は墨子本来の実像を表そうと語っている所に共感が持てる。

本論の墨子の思想も含蓄を含んでおり、孔子批判には韓非子かと考えてしまったくだりもあったのは驚きである。

評価: 5 愛は世界を救うというスローガンを本気で掲げ、実践で世界を動かした墨子集団(2008-09-01)

人間の認識能力に全幅の信頼をおきp.213、「世界中の人々に、自己と他者を区別せずに愛し合p.53」うことを求め「世界中の安定p.54」を目指した墨子は、多数の門弟に諸国を遊説させ、大国の君主に侵略の中止を説得したりp.220する実践的行動のために、高度な知識・学問としての論理学的思考法をも身につけp.230、「守備戦に範囲を限ったうえでの兵法家p.230」であった。この本では墨子の言葉の紹介とその思想内容の解説がなされるが、その中で、古代中国にいて音楽はどう位置づけられていたか(礼の教化手段、天と人とを感応させる媒介p.178)や、鬼神(死者が鬼となったものp.152)についての思想家間の認識の違いp.154-153や人の運命は予め決まっているかといった問題に対する思想家間の論争p.200-204など、古代中国の思想界の姿が生き生きと浮かび上がってくる。

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評価: 5 今こそ墨子(2005-06-20)

前から気になっていた諸子百家の一人墨子の話。彼の教えが日本語、書き下し文、中国語(はくぶん、って言うんだっけ?)で書かれている。「春秋末、墨子によって創始された墨家の学団は、戦後句末にいたる約二百年間、巨大な勢力を維持して、思想界を儒家と二分する存在であった」らしい墨子の教え。
墨子は非攻上篇・下篇で、侵略は国家の犯罪で戦争は何の利益も生まない、人が死に文化や農作物を失うだけだ。と語っている。特に、「一人の人が他人に損害を加えるのは犯罪で、大規模な不義を働いて他国を攻撃するにいたっては誰もその行為を非難することを知らない。」という墨子の考えはチャップリンにも現在の若者にも受け継がれている、でもそれでもなんで未だに戦争しているんだろうなぁ。こういう、昔のシンプルで明快な理論は読み返されるべきなのかもしれないなぁと思った。