中原の虹 第二巻

中原の虹 第二巻

通常24時間以内に発送
送料について

詳細情報

 

ユーザーによる口コミ・評価

平均評価: 5.0 / 10件のユーザーレビューがあります

評価: 5 西太后死す(2008-03-28)

西太后と光緒帝の最期。
相変わらず結構面白い。

=========
戦では死を怖れた者から死ぬのだ。

西太后
「どこの国でも、世界地図の中心は自分の国。つまり、地球はおのおのの国の主観と利欲によって動いているのだと私は知ったの。
ヨーロッパで産業革命で起こると、その主観と利欲がたちまち牙を剥いた。文明の進んでいる国が、そうでない国を乗っ取って、民を奴隷にし、産物を奪い始めた。
文明。いいかげんなものね。人殺しの機械を次々に発明した文明は、けっして進歩ではない。それは明らかに人間の尊厳を冒す。つまり進歩ではなく、退化です。」
=========

2人中2人がこのレビューを参考になったと投票しています

評価: 5 西太后から溥儀へ(2008-01-13)

もし「蒼穹の昴」を読んでいない方がいらっしゃれば、
ちょっと戻って、「蒼穹の昴」から読まれることをお勧めします。

第2巻は、「蒼穹の昴」の読者へのプレゼント・・・になるんだと思いますが、
梁文秀(リャンウェンシウ)のその後が出てきて
なんか懐かしいやらで、とっても嬉しい。

あまりに厳しい過去を持つ琳琳らが、愚痴を言わないと
どれだけ花鳥風月を話したとしても、結局、人となりの一つもわかりはしない、
というのはあまりに悲しいことだと思いました。

でも、それでも芯の強い当時の中国女性の一端を垣間見る気がしました。

2人中2人がこのレビューを参考になったと投票しています

評価: 4 苦しみの生き仏(西太后)に仕える宦官の春児の姿に胸を打たれる(2007-06-05)

 前巻までに第六代皇帝の乾隆帝がたびたび登場していましたが、この第2巻では、清朝を起こしたヌルハチの時代の回想場面が何度も登場します。
 女真族を統一し偉大なるハーンとなったヌルハチは、明朝を倒して中華帝国全体を手中に収めることに消極的でした。中原に駒を進めるよう強く求めた長男を幽閉し、最後には死なせることによって、自分には中華皇帝の天命がないことを明らかにします。
 浅田次郎は、ヌルハチの子の太宗が明の王城に入ったとき、太宗の幼き息子(将来の順治帝。ヌルハチの孫にあたる)の手に天命の印しである龍玉が収められているのに気づいた、と描いています。
 それほど、龍玉と天命の関係は深い、と。
 その龍玉を乾隆帝が子孫に伝えず隠してしまってから、清王朝は衰退の坂を転げ落ちていきます。19世紀末の中国は、西太后の頑張りでなんとか国の形を持ちこたえている状態でした。
 その立役者が死ぬのです。
 いったい、四億の民の運命はどうなるのか。
 死ぬに死ねない思いの西太后でしたが、自分の寿命の尽きたことを知り、まだ三歳の溥儀を皇帝の座に据えるという最後の仕事を果たします。
 最期の最期に西太后の胸に去来するものは……。
 読み終わって、大きく溜息をつきました。
 重苦しい場面の多い第2巻でした。
 元より、小説というのはすべてが絵空ごとの世界です。
 一般に知られている史実と違い、四億の民のために夫を殺し、子を殺し、最後に残された最愛の光緒帝まで殺そうとしている西太后は、そこまでして中華の民を守ろうとする生き仏として描かれています。
 苦しみの生き仏が最晩年に迎えた悲劇。
 その中で唯一の救いは、これまた生き仏のような家郎(宦官の春児)に身近に居てもらえることができたこと。
 浅田次郎の浪花節に、またも心を震わされてしまいました。

15人中14人がこのレビューを参考になったと投票しています

評価: 5 まず蒼穹の昴を読んでから(2006-12-25)

第一巻、第二巻を読んだ。名著「蒼穹の昴」、ちょっとずっこけたかなという続編「珍妃の井戸」に続く、清朝末期の中国の混乱を描く長編歴史小説である。今回は、西太后の老化に伴う皇帝の権威の低下、日本をはじめとする諸外国による干渉の激化、華北地域における馬賊の勃興などをそれぞれの立場の視点からバランスよく描写しており、没頭して読んでしまう。ただ、登場人物が重なり、前著からのストーリーの流れがあるため、「蒼穹の昴」などを読了せずにいきなりこの「中原の虹」を読むのはお薦めではない。また、これは自分で失敗したなと思ったのだが、12月末現在でまだ第三巻、第四巻の発売予定が明確になっておらず、「いったいこの後どうなるのだろうか?」と日々悶々とさせられている状態である。4巻を通読して意味のあるものなので、あわてずに、全巻が発売されてから通しで読んだ方がよい。それにしても、いったいいつ発売になるのだろうか。

7人中6人がこのレビューを参考になったと投票しています

評価: 5 ドラゴンボールをめぐる物語(2006-12-10)

浅田次郎の一連の清末のシリーズは面白い歴史小説の要素を詰め込んだ作品群といえるだろう。
丹念に調べられた史料と、大胆な歴史解釈と魅力的な架空の人物。
近代史の史料は膨大に存在する。気の遠くなるような時間と労力をかけなければ
これだけのしっかりした背景を描くことはできなかっただろう。
それでも歴史の謎といえる部分は清朝末期にも数多く存在する。
光緒帝は西太后に殺されたのか?
この謎も小説の中では一つの答えをみちびきだしている。
前作『蒼穹の昴』から、中国の未来を担うべき指導者の候補が次々とあらわれ
物語の主人公となっているのだが、本作では張作霖がメインキャラクターとして活躍する。
そして、物語の鍵を握るのが天命を受けた者の御印である龍玉である。
そう、ドラゴンボールを手にしたものこそが歴史の覇者たることを暗示されているのだ。
我々は張作霖・張学良の親子、袁世凱の運命は知っている。
だが、そのようにその終末を迎えるかは予想もつかない。
ドラゴンボールは最終的に誰の手に渡るのだろうか?
やはり『蒼穹の昴』の最後に顔見せで登場したあの人なのだろうか?
西太后死して、辛亥革命へと突き進むであろう第3巻以降が楽しみである。
なお、西太后に関しては中公新書『西太后―大清帝国最後の光芒』を副読されると
この作品世界がよりいっそう楽しめるだろう。