
ある日、軍人の父親にアフリカ行きの命令がきた。それが、主人公シャーロットの不幸のはじまりだ。以来、父の戦死、落胆してたちまちやつれ死ぬ母、ただ1人頼みの叔父は、こともあろうにレンガの落下で脳天を割られ、あっという間に孤児になるシャーロット。寄宿学校へ入れられるが、そこでもいじめられて脱走、悪人の中へ。ところが、死んだと思われていた父が生還。あろうことかそれがさらなる不幸のきっかけになろうとは…。
苦労や不幸があっても、ハッピーエンドでカタルシスにもっていくのがお話の定型だとすれば、これは、ページを繰るたび不幸また不幸、不幸のどん底へまっしぐらの、型破りなお話。でも、これだけ徹底して悪いことが続くと、「ここまでやるか!」といっそ小気味よく、しまいに笑いがこみあげて、それなりに浄化もされるから不思議だ。有無を言わさずどんどん進むテンポのせいか、気品ある訳文のおかげか、それとも、私たちの心の奥に隠れていた、人の不幸を喜ぶ悪いタネが、意地悪なゴーリーに暴かれての苦笑なのか。
白黒の、緻密なペン画の1コマごとに、トカゲとコウモリが合わさったような、怪しい生き物が見え隠れしている。そいつが、シャーロットの不幸をいつものぞいている。そしてその小怪獣の目は、絵の中から、本書を見ている私たちのことも、見つめ返してくるようだ。(中村えつこ)
平均評価: 4.5 / 31件のユーザーレビューがあります
見事に裏切られました。(2007-12-16) ほんとに救いようが無いです。幸せなのはほんの序盤のみあと
はシャーロットの周りに起こるのはすべて不幸、最期までひたす
ら不幸、幸せな伏線を引いといてやっぱり不幸…これが現実とい
わんばかりに夢もへったくれもありません。
あまりにも私の想像したエンディング
とは違った悲惨な物語の終結に、 ………爆笑してしまいました。
私も作者ゴーリーと同じような人間なのかもしれません…
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何でだろう?何度も読み返してしまう・・・。(2007-11-04)何度も読み返してしまう不思議(不気味)な絵本。絵も一色なんですが、絵の中にいるトカゲか分からないけど、不気味な生き物が気になって仕方がない。
本当に不幸でかわいそうな子供なんだけど、読み返すにつれ最後は助かっているのでは?と良い風に捕らえてしまう勝手な私です。
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ゴーリー色(2007-01-29)絵の背景は他の作品に比べても、ひたすら黒いです。対して主人公は他のゴーリー作品の子供に比べて何処となく、白く可愛く描かれています。不幸になるにつれ主人公は薄汚く(黒く)なっていきます。絵自体はいつも通りの素敵な絵です。また、違うレビューでも書きましたが、この日本語版ゴーリー作品シリーズは大抵見開き左に英語、右に日本語で書かれていて親切です。
最後に、私がこの本を読んだ感想としては、
「 あ。」
が適切です。いつもより解釈し得る幅が狭い(ナンセンスさとシュールさが減った様な)気はしますが、淡々とした不幸という、ゴーリーの特色が良く出ている作品だと思います。
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酷を知るために。(2006-10-25)「おぞましい二人」などと同じく
線の細かい挿絵と簡潔な文章は変わらないスタイル。
だけど、この本に出てくる主人公の女の子は、悪い子でも精神異常者でもない。
裕福な女の子が、次々と悲惨な目に遭って行く。
挿絵の顔は、楳図かずおのマンガのよう。
どのページの絵にも、トカゲのような魔物が描かれている―探したらあった。
なんの目的があって、こういう絵本を描くんだろう。
「わぁこわい」ってビックリするため?
そんな薄っぺらいものじゃない気がするんだけど…。
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なんだこれという気持ちが大事(2006-09-17)これは、不幸な子を描いた、不幸なお話絵本です。
例えば、主人公の女の子が地下に監禁されてしまう部分。
もちろん監禁中の一切の描写はされていませんが、何となく行間(ページ間?)の状況を予測してしまう怖さがあります。
この子は、ページとページの間にも、我々の知らない不幸を体験しているのではないか?という怖さです。
そうして我々の想像の中で無限大に肥大する彼女の不幸は、圧倒的に不幸な結末によって、淡々と、話は結実を見ます。
我々は彼女の不幸を、悲しめばいいのでしょうか?笑えばいいのでしょうか?
そんな不思議な絵本。
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